あうとわ~ど・ばうんど

エリック・ドルフィー没後50年

1964年6月29日、エリック・ドルフィーがベルリンで死去した。36歳になってわずか9日後のことだった。その日からちょうど半世紀の節目にあたる。

ドルフィーとは何の関係もない日本の、それも北海道に住む高校生が、彼の音楽を初めて聴いたのは、死去から四半世紀が経ったころ。それからさらに四半世紀が経過したが、当時その高校生は、ドルフィーの音楽が彼のその後の人生を狂わせるなんて思ってもみなかっただろう(こちら参照)。

25年間いろんなジャズを聴いてきたが、しかし、ドルフィーの演奏は今も異次元の美しさを湛え、常に大いなる謎として、魅了してくれる。あらためて、エリック・ドルフィーが存在してくれたことに感謝である。


ところで、ドルフィー没後50年を記念したと思しき、こういうホームページがあるが、ご存じだろうか。

http://adale.org/Discographies/EDIntro.html

このページの何が素晴らしいかといえば、エリック・ドルフィーに関するほぼ全ての音源が聴けるところだろう。正規盤・非正規盤(私家盤)を問わず、リーダー作、ゲスト作、アンサンブルの一員としてのみの作品も含まれている。

私が最も注目したのは、1962年11月20日、NYタウンホールでの(ものとされる)演奏だ(こちら参照)。メンバーは

Eric Dolphy(as, bcl, fl, cl) Edward Armour(flh) Richard Davis(b) Herbie Hancock(p) JC Moses (dr) Ree Dragonette(poetry)

ハービー・ハンコック在籍時のクインテットである。
この女流詩人リー・ドラゴネットと共演した、詩とジャズのイベントにおける演奏の存在は知られているが、こうして音源も存在するとは思ってもみなかった。

驚くべきは演奏曲。初期からのレパートリーである「GW」の長尺ヴァージョン(しかも、ドルフィーのアルトは超アグレッシヴ)に加え、「South Street Exit」「Mandrake」「Something Sweet Something Tender」も62年時点ですでに登場、全く知らない室内楽的な曲も収録されている。(「Hat and Beard」の名も記載されているが音源はないようだ)

ほかにも、63年(?)にコルトレーン・カルテットに客演した演奏などもあるので、興味のある人は一つ一つ確かめてほしい。そうとう楽しめるはずだ。

こういう音源こそ、この記念すべき年に正規盤として出すべきだと思う。


これ以外にも、ドルフィーに関する未発表音源はまだまだあるはずだ。いつか日の目を見ることを期待したい。