あうとわ~ど・ばうんど

Carlos Ward - Faces

セシル・テイラー、アブドゥーラ・イブラヒム、ドン・チェリー、ドン・プーレンら(ピアニストが多いな)のグループで活躍したリード奏者、カルロス・ワード。最近は名を目にする機会がないが、何をしているのだろう。

ともあれ、カルロス・ワードは大好きなミュージシャンだったのだが、4枚あるはずのリーダー作を聴いたことはなかった。しかしようやく、昨年そのうち3枚が再発(ただし一番有名な、ウディ・ショウが参加した初リーダー作「Lito」は未CD化)されており、そのうち一枚をどうにか入手できた。

Faces

Faces

Kirk Lightsey(p) Alex Blake(elb) Pheeroan akLaff(ds) Carlos Ward(as, fl, per)


94年の作品だというが、全体のサウンドはフュージョン~ワールドミュージック的で、その時点でもちょっと古めかしさ(懐かしさ)を感じさせる。

全14曲の中には、同時期のドン・プーレンのアフリカン・ブラジリアン・コネクションでも演奏されていた「Anastasia / Pyramid」があり、かなり笑ってしまう曲調のものもあり、最終4曲は無伴奏ソロ(これ、かなりいい!)があり、といった具合で、とくに統一感はなく、ごった煮的に詰め込まれている印象も受けるが、カルロス・ワードのアルトサックスとフルートは躍動している。それだけで嬉しくなる。

カルロス・ワードのアルトサックスの魅力は、なんといっても、低音から高音まで伸びやかで艶やかな音。その音をもってして、彼の基軸はおそらくバップだと思うが、モーダルにもフリーキーにも、全方位型で縦横無尽に吹ききる。そして、フリーに攻めているときでも、彼のサックスには哀感がにじむ。これがたまらない。

90年代半ばは、私がジャズ研にいた時期であり、カルロス・ワードは理想のプレイヤーの一人であった。思い入れ補正は認めるが、彼のこの演奏は本当に大好きだ。