あうとわ~ど・ばうんど

Andrew Hill - Grass Roots

昨年の発掘盤ベストに選んだエリック・ドルフィーアウト・トゥ・ランチ」完全未発表テイクを送り出してくれた『ブルーノート・ザ・マスターワークス』シリーズだが、定番だらけだった第一期とは違って第二期は、国内初CD化作品が目白押しとなっている。

グラス・ルーツ+5

グラス・ルーツ+5

①~⑤:Lee Morgan(tp) Booker Ervin(ts) Andrew Hill(p) Ron Carter(b) Freddie Waits(ds)
⑥~⑩:Woody Shaw(tp) Frank Mitchell(ts) Andrew Hill(p) Jimmy Ponder(g) Reggie Workman(b) Idris Muhammad(ds)

アンドリュー・ヒルの、このタイトルと来月発売の「リフト・エヴリ・ヴォイス+6」は、なぜかネット通販価格が高く入手に二の足を踏んでいたのだが、こうして廉価で出てくれてありがたい。

アルバムはジャズロックやラテン風味を加味した、ヒル作品としては異色の一枚で、察するに「ザ・サイドワインダー」の大ヒットに気をよくしたアルフレッド・ライオンが、ヒルにもヒットのチャンスを与えようと企画したアルバムなのだろう。(「サイドワインダー」に続く「ザ・ランプローラー」のタイトル曲が、なぜヒル作曲だったのか個人的に長年なぞだったが、ライナーノーツを読んで、彼が作るファンキーチューンが通用しうる確証を得るため、と解した)

そんなわけで、初心ジャズファンには聴きやすいかもしれないが、ヒル好きにとっては薄味に感じてしまうのも事実。とはいえ、彼のピアノスタイルはブレないし、どんな曲調にもフィットするのだからやっぱりさすがだ。

ところでCD後半は、本セッション4ケ月前の先行セッションで、5曲中3曲で曲目がダブるものの、演奏メンバーが全く違う。正直に言って、この後半のセッションの方がはるかに面白い。

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