あうとわ~ど・ばうんど

Charles Gayle / Homeless

久しぶりの「聴いたら危険」タグ使用。
思い出すと、おととし9月あたりから「聴いたら危険! ジャズ入門 (アスキー新書)」の企画が動きだし、見切り発車的にミュージシャンリスト選考が始まり、10月中旬に出版社から正式なゴーサインが出て、今時期はリストの最終的な詰めと同時に執筆がスタートする、というところだった。あれからもう2年になる。早いなあ。
お薦めアルバム選定はそれぞれの筆者に任され、「必ず入手しやすいものを選ぶように!」とお達しを受けたのだったが、出版後、一部の読者から「入手困難盤が多くて外道」という声が上がったのは知ってのとおり(笑)。
で、そのせいかどうか、お薦めアルバムの中には私も聴いたことがないものもあって、このアルバムも堂々と「入手困難」と書いてあるのだが、これまで聴いたことがなくて、しかし最近運よく入手できた。


Homeless

Homeless

Charles Gayle(ts) Sirone(b) Dave Pleasant(ds)


1939年生まれのチャールズ・ゲイルが「発見」され、アルバムデビューを果たしたのは88年、すでに50歳手前のこと。アルバート・アイラー(実は3歳しか違わない)の没年齢もとうに超え、遅れてきた新人の演奏は、しかし、黒人フリージャズの正統継承者である貫録に既に満ちている。
まるで次の瞬間には死んでいても構わないと思われるような切迫感に満ち、のたうち啜り泣き絶叫する圧倒的な音は、彼自身がそのまま乗り移ったかのようだ(そういう人は、実はそんなに多くない)。ベルからはフレアが爆発的に次々噴き上がり、その影響は太陽嵐にも似てわれわれの脳内を心を掻き乱す。やはり、ゲイルの演奏はたまらんのだ、と再認識する。