あうとわ~ど・ばうんど

Cecil Taylor Unit / Live in Vienna

順序が前後するのだが、連休前前からほぼ毎日のように聴いている。

Live in Vienna

Live in Vienna

Cecil Taylor(p, poetry) Carlos Ward(reeds) William Parker(b) Leroy Jenkins(vln) Thurman Barker(marimba, ds, vo)

以前にも書いた通り、今までセシル・テイラーをあまり聴いてこなかったのだが、Black Saint & Soul Note の5枚組に感心したのを機に、ほかの作品も聴いてみようと思った。で、膨大なタイトルからどのアルバムを選ぼうか考えたところ、そうだ、それならばカルロス・ワード参加時代にしよう、と思いついたわけである。

カルロス・ワードといえば、一般的にはアブドゥーラ・イブラヒムとの共演盤が有名なのだろうが、私にとっては Don Pullen の晩年、African Brazilian Connection の一員として印象深い。高音を轟かせることもないし指捌きも格別速いわけでもないが、そのふくよかな音色とどこか牧歌的フレーズが、実はとても好きだったのである(ちなみに、彼のフレーズを1.5倍速にすると坂田明さんになる、と勝手に信じている)。

このアルバムでも、彼のそのメロディックな魅力はアルトサックス、フルートともに発揮され、サーマン・バーカーによる打楽器群が空間に彩りを添え、ウィリアム・パーカーの饒舌なベースがサウンドを常に掻き乱し、リロイ・ジェンキンズのヴァイオリンも演奏を浮揚させ、セシルのピアノはすべてを受け止め高みに導いてゆく。ぴんと研ぎ澄まされ集中力の持続が要求されるというより、リラクゼーションが程よく調和していて、しかも何度繰り返し聴いても(今のところ)まったく飽きがこないなあ。