Eric Dolphy / Muses

ミューゼズ／エリック・ドルフィー
Eric Dolphy(bcl, as) Woody Shaw(tp) Bobby Hutcherson(vib) Richard Davis(b) Eddie Khan(b) J.C.Moses(ds)

待っていたダグラス・セッションの未発表集。なんといっても注目は、世界初登場のドルフィー作のタイトル曲「Muses」と「Alone Together」の別テイク、どちらもバスクラリネットによるリチャード・デイヴィスとのデュオである。（その他、「Iron Man」「Love Me」「Mandrake」の別テイクは想像つくし、実際に想像通りだった。ちなみに、音質は良くない）

まず、冒頭の「Alone Together」から。基本構成は本テイクと同じだが、ドルフィーは当初から、かなりはっきりとテーマメロディーを奏でるという意外な展開で、全体的にあまいというかゆるく、やっぱりオリジナルには敵わない。

期待の「Muses」は、いわく言い難い幽玄的なムードを持っていて、ドルフィーの作曲系譜からするとちょっと異質な一曲であることは間違いない。が、どうもまだまだ未完成な感じがする。オリジナルに収録されなかったのはそのためではと推察する（また、他の曲から完全に浮くのもあるだろう）。

しかし、この演奏の存在が明らかになった意義はかなり大きいと思う。長生きしていたら、ECMミュージシャンになっていた可能性もあるだろう。そんなこと、これまで全く考えもつかなかった。