あうとわ~ど・ばうんど

Eric Dolphy / Timespan


帰宅したら届いていた。
エリック・ドルフィー / タイムスパン」(Marshmallow Export)

M-1〜3 : Eric Dolphy(as, fl, bcl) Bent Axen(p) Erik Moseholm(b) Jorn Elniff(ds) - “TV studio” Copenhagen, Sep 7th, 1961
M-4〜10 : Eric Dolphy(as, fl, bcl) Eddie Amour(fh) Herbie Hancock(p) Richard Davis(b) Edgar Bateman(ds) Joe Carroll(vo) - “Gaslight Inn” NYC, Oct 7th, 1962
M-11 : Charlie Mingus Orch. / Rex Hollywood session, spring, 1949
M-12 : Roy Porter 17 Beboppers / Knockout Session, LA, Feb, 1949


世界初出音源(M-1〜3)と、49年の初ソロを記録した『幻のノックアウト音源』を収録したという企画盤。限定999枚だそうだ。

まずは世界初出音源、ではなく、49年の初ソロから聴こう(初出音源は「In Europe」の合間だから想像つく)。

M-11、以前 Uptownレーベルから出たミンガスの「West Coast 1945-49」に収録されてたらしいが未聴だった。おお、すごいではないか、SP盤直起こしらしきチリチリノイズが。まあ、聴くに堪えないほどでもない(むしろ雰囲気出て良いかも)。

さて、ここで聴かれるアルトサックスのソロがエリック・ドルフィー20歳時のものだそうである。こう言ってはなんだが、あまり上手くはない。きょう日のジャズ研C年でももっと吹けるだろうという感じであって、ドルフィーも最初から天才だったわけではないのだなあなど安堵(?)してしまうのだが。しかし、そのトーンと、フレーズのはしばしが、のちの“ドルフィーリング”を先取りしている感じがして興味深い。
M-12はビッグバンドサウンドの中で、主メロディーを吹いている。とのことだが、これは指摘されないとドルフィーとはちょっと気づかないかなあ。とはいえ、吹き伸ばしの部分がそう言われればドルフィーっぽいかなあと思う程度。

次にM-1に戻って、世界初出3曲を聴く。おおこれも音がひどい。元テープのピッチがそうとう狂ってしまっているんじゃないかと思われるが、とくに3曲目のアルトサックス(ミス・アン)は異常な音になってしまっている。とはいうものの、ドルフィー自体は絶好調で、これはこれで面白いから不思議だ。

M-4からの7トラックは、ハービー・ハンコック在籍時のクインテットのガスライトイン・セッションを、インタビューまで収録した完全版とのこと。こうして聴いてくると、このセッションって、こんなに音が良かったっけ?と感じてしまう。ちなみにこのセッションのドルフィーもやはり好調で、「ミス・アン」や「GW」は他作品でのものに較べ長尺の演奏、長ければ長いほど真価を発揮する非常にスリリングなソロになっている。しかし、完全版とはいえやはりジョー・キャロルは邪魔だなあ、マイルスの「ソーサラー」最終曲を思い出してしまう(笑)

ひと通り聴いてみて、印象に残ったのはM-3とM-11かな。でもまあ、マニア向けのCDだな。