あうとわ~ど・ばうんど

ツー・フランクスの発掘盤

ESP-diskから、ツー・フランクス(フランク・ロウ、フランク・ライト)の発掘盤新譜が同時リリースされている。


Loweski

Loweski

Frank Lowe(ts) Joseph Jerman(ss, as) Raymond Lee Cheng(The Wizard)(vln) William Parker(b) Rashid Sinan(ds) - 73年


Blues for Albert Ayler

Blues for Albert Ayler

Frank Wright(ts, fl, vo) James Blood Ulmer(g) Benny Wilson(b) Rashied Ali(ds) - 74年


前者は、名盤「Black Beings (Dig)」(08年5月10日参照)と同時期・同メンバーゆえ、とても期待していたのだが、全員一丸で突進していく「Black Beings」とは趣の異なった演奏。
最初はジョセフ・ジャーマンの無伴奏ソロから始まり、やがて周囲がなだれ込んでくる。惜しむらくは弦楽器と打楽器が遠い。が、サックスの音はよく聴こえる。ジョセフ・ジャーマンがひたすらピーピーいわせた後は、フランク・ロウがひたすらキーキーいわせる。いいねえ(笑)。


後者は、6年前に出たやはり発掘盤の「Unity」(06年12月4日参照)翌月の演奏。ただし、「Unity」とはメンバーが全く違う。なんといっても注目はウルマーの参加だろう。71年にNY進出、72〜74年にオーネット・コールマンと行動を共にした(が、公式共演音源はない)というから、ちょうどオーネットの元にいた時期、しかもこの時期の音源自体多くはないはずで、貴重な記録と言えるのではないか。
アルバムは、フランク・ライトが圧倒的な影響を受けたアルバート・アイラーに捧げたブルース(曲調はアイラーというよりコルトレーンだが)がテーマ。
ライトは、テクニックはともかく溢れんばかりの情熱(のみ)でフリーに攻めまくる。しかしながら聴き物はやはりウルマーのギターであり、一本調子のライトと比べると、実に多彩な表現でまったく飽きさせない。音バランスの影響もあって、ウルマーのリーダー作のように聴こえることしばしば。彼のフリージャズギタリストとしての実力を再認識させる。