あうとわ~ど・ばうんど

G. W. 特集

ゴールデンウィーク特集。ではありません。
エリック・ドルフィーが生涯にわたって演奏し続けた代表曲「G. W.」を、年代順に聴いてゆこうという企画です。ま、駄洒落ですね。


Outward Bound: Rudy Van Gelder Remastersまずは、ブログタイトルの元にもなった「Outward Bound: Rudy Van Gelder Remasters」(60年)から。ドルフィー初リーダー作の劈頭が本曲である。いやー素晴らしいですね。独断で言わせてもらうと、この曲の生命線は、テーマが終わった直後のドルフィーのアドリブソロ冒頭の『かまし』である。ここで勢いをつけられるかどうかにかかっている(ただし、後述の例外を除いて、ドルフィーはしくじらないけれど)。別テイク(テイク1)は、この点でいただけない。テンポが遅いせいもあるが、勢いをつけられなかったために、全体的に演奏が緩い(もしかすると、完奏リハーサルかもしれない)。


Berlin ConcertsStockholm Sessions次は61年、「Berlin Concerts」の3曲目。このヴァージョン、知る限りでは最もテンポが速い。惜しいかな、尺が短すぎる。61年物はもう1枚、「Stockholm Sessions」の6曲目。これは平均テンポ、テンションも高い。が、演奏自体は途中でフェードアウト。


Left Alone62年は「Left Alone」の4曲目。音質が非常につらいが、ドルフィーのみに焦点を絞れば、これは上位だ。まずソロが長い。そして、長くなればなるほど良くなるドルフィーの特性を反映して、ソロの自由度、奔放性、イマジネーションが際立っている。


Illinois Concert63年は「Illinois Concert」の最終曲。これは、ちょっとキワモノ。ビッグバンドとの共演で、テーマ部はブラスが担当。アレンジがあんまり・・・


最終64年は「The Complete Last Recordings」の3曲目。正統的な演奏に戻る(当たり前か)ものの、パーカッションがマヌケだな〜。


というわけで、(途中で後悔して)駆け足で聴いてきたのだが、結論。
ぼくは結局、「Outward Bound」の1曲目が一番好き。ジャッキー・バイアードのモンク的ピアノや、ロイ・ヘインズのユーモラスなちょっかい、というように、メンツの違いが大きい。やっぱり企画倒れですかね(笑)。