あうとわ~ど・ばうんど

Last Date

Last Date
ここにも帰ってこよう。何度でも。「Last DateEric Dolphy」(fontana)。64年、全6曲46分。Dolphy(bcl,fl,as)Misha Mengelberg(p)Jacques Schols(b)Han Bennink(ds)。
なお、イラストジャケが一般的なようだが、ぼくにとってはこの写真ジャケが「Last Date」である。さて。マイルスでジャズにのめり込み、この作品がハマる決定打となったことは既に書いた(昨年11月13日)。もちろん今でも大好きだ。中でも①「Epistrophy」と⑤「You Don't Know What Love Is」。①に関しては前記を参照してもらうとして、⑤だ。なんでこんなにイイのだろう。「Conversations」の「Alone Together」もそうなのだが、いろんなミュージシャンが数限りない演奏を残しているのに、ドルフィーのものは、そのどれにも似ていない。全く違う曲にすら聞こえる。いやはや。考えてみたらこれは凄いことではないか。鳥と一緒に練習した(『鳥の声はFとF♯の間』という発言もある)という逸話が残っているドルフィーのフルートは、まさに頭上を鳥がさえずりながら飛び回っているように響く。そして、完璧なカデンツァを聴きながら、ふと有名な詩を思い出した。

また見つかった
何が? 永遠
太陽と溶け合った
海のことさ

ぼくの不滅の魂よ
おまえの誓いを守るがいい
独り身の夜と
燃える昼にはおかまいなしに

従って 世間の評判からも
月並みな方向からも
己れを解き放って
気ままに飛んでゆくがいいのだ……

−望みもなければ
 復活の祈りもない
学問と忍耐 つまりは
責め苦こそが必定だ

また見つかった
−何が?−永遠
太陽と溶け合った
海のことさ

  (『ランボー全詩集』宇佐美斉訳、ちくま文庫、290、291頁)

夭折の詩人の不滅の魂と同様、ドルフィーのフルートもまた永遠へと飛んでゆく。