あうとわ~ど・ばうんど

at the Blu Note Tokyo

普段とはちょっと系統の違うものを。「Seigen Ono Ensemble At the Blue Note Tokyo」(saidera)。00年、全10曲73分。オノセイゲン(elg,charango)三宅純(elp,pianica)五十嵐一生(tp)村田陽一(tb)竹内直(ts)緑川英徳(as)山口トモ(per)佐藤慎一(elb)Satoru Wono(turntable,sampler,key)江波杏子(reading)Yayoi Yula(vo)Satoshi Ishikawa(pandeiro)Cokkey(tantan)Den(cavaquinho)*1
名エンジニア・音楽家オノセイゲン率いるグループのライヴ。ジャズと近縁関係にある無国籍(もしくは多国籍)音楽というべきか。なんともいえない哀感をもった曲が多く、映画のように場面が次々移り変わっていく構成で、飽きさせない。意外と好きなんです、こういうの。最もハマッていた時期が、キップ・ハンラハンにハマッていた時期と重なるのも偶然でない、かもしれない。そのスジのジャズファンが泣いて喜ぶかもしれないアンサンブルメンバーも、実力をいかんなく発揮している。
どの曲も面白いが、②「Hanabi 50.0」がイイ。後半に飛び出す竹内のテナー無伴奏ソロ、ニゴリ成分満載のサーキュレーションが刺激的。そして、続く緑川のアルトが大好きだ。おそらく多少のリヴァーブ入りとは思われるが、初期ドルフィーを思い出させる澄み切った音色の美しさはどうだ。これだけで、ぼくの中では名盤確定。
ちなみに、ややイロモノながら(イロモノで思い出したが、フリージャズ好きにはお笑い好きや格闘技好きが多いという俗説があるが、ま、そんな話はさておき)、③「Anchovy Pasta」。アンサンブルをバックに江波杏子がアンチョビパスタの作り方を朗読をするのだが、これがなんともいえない魅力がある。最後に江波が『どう、完璧でしょ』というフレーズで締めるが、いつも『ハイ、完璧です』と答えてしまう(失笑)。

*1:名前表記、一部分からず