Codebook

Pi Recordingsの新譜が届く。

「Codebook／Rudresh Mahanthappa」。全9曲55分。Mahanthappa(as)Vijay Iyer(p)Francois Moutin(b)Dan Weiss(ds)。

要注目アルトサックス奏者、マハンサッパの「Mother Tongue」(1月23日参照)に続く同レーベル第2作目。①「The Decider」の冒頭、アルトサックスの屈折感に満ちたソロに既にヤられる。同じ屈折感でもスティーヴ・コールマンのフレージングはポキポキと小気味いいのに対し、マハンサッパのそれはガキグキゴキグリと力強い。③「Enhanced Performance」④「Further and In Between」⑥「Frontburner」でも、この豪腕ぶりがたまらない。

『屈折感』という表現は、もちろんぼくが勝手にそう感じているだけで、彼らの身体性に基づく自然な表現ではあるだろう。だが、ぼくにとっての異物感というか、一種の聴きにくさのようなものが、ジャズに求めている魅力の重要な一つであって、ジャズ的な気分や約束事をなぞっただけののっぺりした演奏に興味を持てない一因でないか、と思う。