あうとわ~ど・ばうんど

The Last

本日は、エリック・ドルフィー42回目の命日。あなたの音楽に出遭えて・・・云々の文章は割愛(笑)
現存するドルフィー最後のレコーディングである。「The Complete Last Recordings/Eric Dolphy」(norma)。全6曲65分。Dolphy(as,bcl,fl)Donald Byrd(tp)Nathan Davis(ts)Jack Dieval(p)Jacques Hass(b)Franco Monzecci(ds)Jacky Banbou(per)。
64年6月11日、パリでの録音(「Last Date」は、6月2日)。パーカッションを加えたりピアノレスやテナーレス、フルートのみのワンホーンにしたりと、いろいろサウンドを試しているようである。②「245」③「GW」④「Serene」⑥「Ode to Charlie Parker」といったお馴染みの曲は、メンバーのせいもあってかハードバップ臭が強いが(⑤「Naima」も、選曲はやや異色だが、似たような内容)、ドルフィー一人が別次元、掛け値なしに素晴らしい。
注目は①「Springtime」だ。スパニッシュっぽいモードを使ったドルフィーのオリジナル。幽玄というか不穏な曲想のテーマは、この年の2月に吹き込まれた「Out to Lunch」に入っていても(おそらく)違和感はない。この曲でのドルフィーは、スペースを存分に使ったバスクラソロを披露。それまでとはまた違ったサウンドの志向性が感じ取れ、「Out to Lunch」の『次の展開』を十分に予感させる。死の影は全くない。ドルフィーサウンドには無限の可能性が開かれていた。ああ、だがしかし。エリック・アラン・ドルフィー・ジュニアには、もう時間が残されていなかったのだ。