あうとわ~ど・ばうんど

1969 Miles +α

1969マイルスMiles Davis」(sony)。93年リリース、全7曲64分。Miles Davis(tp)Wayne Shorter(ts,ss)Chick Corea(pf)Dave Holland(b)Jack DeJohnette(ds)。
やっぱ、いつ聴いても何度聴いてもイイわ。ホントしびれまくり。このアルバム、『マイルスといえば60年代黄金クインテット。プラグド・ニッケル最高!』だったぼくが、『ロスト・クインテット万歳!』に宗旨替え、それまでは全く分かんなかったエレクトリック期に開眼してゆくきっかけになった記念碑的作品。その後、これに勝るとも劣らない、この時期のブートを聴いてきているが、やはり最初の衝撃力ということから、これが一番好きだな〜(ちなみにぼくは、このアルバム聴いて泣くことができる。いやホント)。
マイルスが歴代率いたグループの中でも、実はロストクインテットが一番好きだ。アガ・パンを完成形とみなす史観からは、アコースティックとエレクトリックの端境期とか過渡期とか言われるが、そもそもマイルスの音楽は常に過渡期なのではなかったか?(ぼくはアガ・パンも、『過渡期の音楽』だと思う)数多ある過渡期の中で、ロストクインテットこそ最強ではなかろうか。過去の集大成と未来への可能性の両極(そういえば、マイルスのキャリアのちょうど半分ぐらいの時期である)を臨界ぎりぎりまで押し広げ、最も壮大な音楽性を持ったグループだった、とぼくは思っている。

①「Directions」から、それはそれは凄まじい。マイルスのトランペットが火を噴く。客席のフランス人の髪の毛を残らず焼き尽くしたのは想像に難くない。ショーターのテナーも重厚。マイルスがなぎ払った後をローラーでならしてゆく。チックの千変万化のフェンダーローズ、デジョネットの機銃掃射ドラム、ホランドの地を震わすぶっといベースの唸りだって負けてない。お得意のメドレーで②「Miles Runs the Voodoo Down」へ。ショーターのソプラノも飛びまくる。③「Milestones」は一休みか。もはや、ちょっとかったるいのだ。客席はようやく知った曲が登場したとばかりに呑気に拍手、無視してぶっ飛ばせばよかったのに。しかし、休養十分で迎えた④「Footprints」がスゴイ。この破壊力は何だ!?そして、必殺の⑤「Round About Midnight」。例のブリッジがキマリまくる。猛然と飛び出すショーターが素晴らしい。客席はこの日一番の大拍手。ところでチックがアドリブで弾いているのは『Milestones』ではないか?⑥「It's About That Time」を経て、感動の⑦「Sanctuary〜The Theme」。駆け足の1時間。こんなカッコイイ音楽が他にあるだろうか?いや、ないっっ!!!(笑)





ところで、PLAYBOY8月号「マイルスとJAZZの80年」を読んだ。正直な感想。
①いい写真が多いなあ(グラビアの話ではない)。②日野皓正インタビューが意外に面白いなあ。③特に驚くような話は載ってなかったなあ。
の3点。