あうとわ~ど・ばうんど

Sketches of Spain

新譜ラッシュも一段落。本日は久ーしぶりに「SKETCHES OF SPAINMiles Davis」(columbia)を聴く。60年、全5曲42分(ボーナストラック要らん)。
ところで、マイルスは、この作品以後、生涯にわたりスペインへのこだわりを見せる。エキゾチシズムではなかろう。マイルスが語っている通り、スペイン音楽は『昔、アフリカ人がスペインを征服した関係で(中略)アフリカ的な要素が強く残っている(中略)ルーツはアフリカにある』(宝島社文庫・自叙伝Ⅱ44-45頁)からだ。(実際、音楽的にも、スペインとりわけアンダルシアの音楽は、ブルース同様、一つのモードの中にメジャーとマイナーを併せ持つ二重構造になっているらしい)。

さて、いつも①「アランフェス協奏曲」(正確に言うと、第2楽章『アダージョ』)だけを聴いて済ませてしまうという不届き者はいないだろうか。『アランフェス』は、たぶん誰が演奏してもそこそこ感動できる。このアルバムはB面(③−⑤)にこそ精髄があると思う(別に『アランフェス』がダメだ、というつもりはありませんが)。特に素晴らしいのが⑤「Solea」だ。マイルスのトランペットはブルースそのもの。そして、これが重要なのだが、バンド全体が猛然とスウィングしている。なんてドラマチックな音楽だろうか。



余談だが、『カインド・オブ・ブルー』『スケッチズ・オブ・スペイン』のような、クラシックファンにも人気の高いアルバムのドラマーがジミー・コブであるのは偶然とは思えない。もし、フィリー・ジョーだったら、どうなっていただろう?