あうとわ~ど・ばうんど

Mother Tongue

近年要注目のアルトサックス奏者Rudresh Mahanthappaを初めて聴いたのは一昨年リリースのアルバム「Mother Tongue」だった。全11曲62分*1。Mahanthappa(as)Vijay Iyer(p)Francois Moutin(b)Elliot Humberto Kavee(ds)。
①「The Preserver」の冒頭いきなり、アルトの強烈な音色とガリグリゴリグレというフレージングを聴いて一発で虜になった。マハンサッパのサックスは、スティーヴ・コールマン=M-Base系とでも言えばいいか、うねうねぐねぐねしたアドリブラインが持ち味。聴き慣れぬ人には取っ付きにくいかもしれないが、ハマるとすごく癖になる。ただしコールマンよりは音色が濃く、かつパワフル。また、インド系という出自によるものか、時折サックスから民族楽器のような響きを絞り出すユニークな一面もある。
ピアノのヴィジェイ・アイヤー(ちなみに彼もインド系)とは、アイヤーのグループでも共演しているだけあって、息もピッタリ。自分の貧しい耳には何がどうなってるんだかよく分からない複雑系変拍子サウンドを共に推進してゆく。④「Gujarati」や⑨「Malayalam」(回文?)、⑪「Change of Perspective」など、硬軟緩急自在のインプロの凄みを味わわせてくれる。このアルバム、サックス好きの方々に、本当にオススメです。

*1:ジャケットには10曲しかクレジットされていないが、(恐らく)10曲目のアルト独奏による前奏を、独立した1曲としてトラックを切っている。