あうとわ~ど・ばうんど

Albums of The Year vol.1

気がつけば、今年ももうすぐ終わり。本日(といっても既に日を跨いでいるけれど)から3回シリーズで、「今年の収穫」やります。ただし、自分は音楽的完成度みたいなものはよく分からないので、今年愛聴したものを、今の気分で順位をつけただけのものです。ちなみに、明日やると順位やラインナップが入れ替わるかもしれません(笑)。なお、「12月の収穫」は、ブログで紹介したもの以外特筆すべきものがなかったので、割愛させていただきます。

第1回目の本日は【海外部門】ベスト5です。

① At the Mountains of Madness/Electric Masada
今年のベスト1。詳しい内容は11月29日参照。発売時期にも恵まれた。インパクトの強さから、他の作品をふっ飛ばしてしまった感がある。今考えついたが、このElectric Masada、ジョン・ゾーンのキャリアの集大成的側面もあると思う。これからも追いかけていくつもり。
② Live at the Kerava Jazz Festival/Henry Grimes Trio
Electric Masadaが出るまでは、これが1位だと思っていた。ヘンリー・グライムスとデヴィッド・マレイ、ハミッド・ドレイクのサックストリオ。グライムスのベースは、とても60年代末に忽然と失踪し2002年に安ホテルでベースも持たずアイラーの死も知らず窮乏生活を送っていたところを発見された人とは思えない約30年のブランクをちっとも感じさせない太くて豊かな響き。たぶん本当はフリー・インプロの苦手なマレイも、グライムスとドレイクに煽られ、信じられないぐらい燃える。とはいえ、この作品、買ったのは今年だけれども、リリースは昨年なのかもしれない(よく分からない)。
③ The Bikini Tapes/Atomic
北欧スター軍団の04年ライヴ選集3枚組。Fredrik Lyungkvist(ts,cl)Magnus Broo(tp)Havard Wiik(p)Ingebrigt Haker Flaten(b)Paal Nilssen-Love(ds,per)。ぼんやりしていると、ただのクインテットにしか聴こえないかもしれないが、このグループはジャズが明らかに新時代に入ったことを告げる。どこにでもありそうで、他にはない素晴らしい響き。
④ 7 Black Butterflies/Drew Gress
Drew Gress(b)Ralph Alessi(tp)Tim Berne(as)Tom Rainey(ds)Craig Taborn(p)。ジャズの本質が即興だけなのだとしたら、いつか行き詰まるほかない。というよりも既に60年代に行き詰まっていると思う。アレンジとソロ、作曲と即興の絶妙な一体化に、現代ジャズが軸足を移しつつあるのは当然の動きだろう。そんな中でも、ティム・バーン一派の音楽は一歩先んじているというか、確かな成果をあげていると思う。
⑤ Simulated Progress/Fieldwork
Vijay Iyer(p)Steve Lehman(as,ss)Elliot Humberto Kavee(ds)。ヴィジェイ・アイヤー一派(元をただせばM-Base派)の音楽も現代ジャズの可能性を追求する。複雑な変拍子と精妙なアドリブに打ちのめされる。

迷った末結局ベスト5からは漏れてしまったが、他にもヴァンダーマーク、マツ・グスタフソン、ニルセン・ラヴ、デヴィッド・S・ウェア、ジェームス・フィン、クラウディア・クインテットなどなど甲乙つけがたいアルバムが多数あったことを付記しておく。