あうとわ~ど・ばうんど

Booker Little

「The Prophet」の項では(敢えて)触れなかったものの、Booker Littleは大好きなトランペッターの一人だ。ただ、ドルフィーの相棒としては、多少どうかなー、という気がしないでもない。案外、ハバードのほうが、ドルフィーには合っていたんじゃないか、みたいな。

それはさておき、リトルだ。個人的には、世評高いTime盤「BOOKER LITTLE」よりも、Bethlehem盤「Booker Little & Friends」を愛聴している。これはどちらが優れているとかどうとかいうことではなく、単純に好みの問題だ。健康的な躍動感疾走感にあふれたものより、病的な?重さ暗さに満ちた演奏のほうが、自分の感性にはたぶん合っているのだ。(もちろん例外もいっぱいあるのだが)

演奏を聴こう。1曲目「Victory and Sorrow」。tp、ts、tbのスローで重く沈鬱な前奏で幕を開ける。3曲目にはドン・フリードマンがドライヴ感あるソロを繰り広げる曲もあるのだが、この物悲しい気分がアルバム全体に微妙な影を落としているように聞こえる。そして4曲目(B面1曲目)「If IShould Lose You」がやってくる。このアルバム唯一のワンホーン曲でのリトルはあまりに悲痛だ。彼は、この録音の1、2ヶ月後に23歳でこの世を去ってしまうわけで、何やら暗示的ではある。