あうとわ~ど・ばうんど

The Noise Eating Monsters - The Noise Eating Monsters

アレックス・ワードのDLアルバムを聴く。


The Noise Eating Monsters - The Noise Eating Monsters
MuteAnt Sounds, 2017)
Alex Ward (g) Alex Thomas (ds) Tim Hill (bs)


購入の決め手は、ティム・ヒルの存在。以前、Predicate というグループがあり、どうしてもCDが欲しくて長年の主義を破棄して海外通販に手を出すきっかけとなったのだが(12年11月8日参照)、そのグループでサックスを吹いていたのがヒルだったのだ(他は Alex Ward, Dominic Lash, Mark Sanders)。この人、ふだんはサックス奏者よりも、ノイズ(エレクトロニクス)奏者としての活動がメインなのか、アレックスとのグループ以外には、サックス奏者としてまったくと言ってよいほど名前を見ない。しかしプレイは素晴らしい。本作でもアレックスのイケイケギターとともにかっ飛ばすバリトンサックスは快感で、もっとサックスでの活動に本腰を入れてほしいのだけれど。


参考音源(Predicate)

年末年始に聴いた再発盤・発掘盤

昨年秋から年末にかけて溜まっていた再発盤・発掘盤を、この年末年始および週末で、ようやく聴きおおせた。備忘用にタイトルだけ並べて置く。


At Onkel Po's Carnegie Hall Ha

At Onkel Po's Carnegie Hall Ha

センヤー

センヤー

イン・ザ・トラディションIn The Tradition

イン・ザ・トラディションIn The Tradition

イン・ザ・トラディション Vol.2In The Tradition Volume 2

イン・ザ・トラディション Vol.2In The Tradition Volume 2

Live at the Rainbow Gallery '7

Live at the Rainbow Gallery '7

ジ・オール・シーイング・アイ

ジ・オール・シーイング・アイ

ヴィジテーションVisitation

ヴィジテーションVisitation

ムバリ・アフリカ(期間生産限定盤)(2CD)

ムバリ・アフリカ(期間生産限定盤)(2CD)

Summit Quartet / Live in Sant' Anna Arresi

HDに寝かせっぱなしにしていたDLアルバムを聴く。


Summit Quartet / Live in Sant' Anna Arresi(2017)
Ken Vandermark (ts, bs) Mats Gustafsson (bs) Luc Ex (b) Hamid Drake (ds, perc)


2016年10月、イタリアはサンタンナ・アッレージで開かれたジャズフェスティバルに、ヴァンダーマークとマッツがそろい踏みしたスペシャルユニット(?)で出演した記録。ヴァンダーマークとマッツの共演というと、だいたい DKV Trio にマッツが客演するとか、AALY Trio や The Thing にヴァンダーマークがゲスト参加するみたいのが多いけれど、ひとつのユニット名義をとるのは珍しいのではなかろうか。しかもサミット(頂点)カルテットと名乗るわけだから、なかなか自信たっぷりだ(ハミッド・ドレイクはともかく、リュック・エックスが頂点かどうかは議論の分かれるところではある)。ヴァンダーマークもマッツも(もちろん残る2人も)共演経験は豊富だから息が合っているし、サックスの咆哮も、ひたすら猛り狂うマッツに対し、強靭な「リフ」を吹き倒すヴァンダーマークが好対照をなすと同時に融合している。つまりいつもと同じなのだけれど、分かっちゃいるけど止められない、なのだ。

Brandon Evans / Rent Romus / Alex Cohen / Philip Everett - Live KFJC 89​.​7 FM

レント・ロムスが Edgetone Records 以外にも吹き込みに参加していないか調べたら、ブランドン・エヴァンスとの共演作(デジタルのみ)を発見した。


Brandon Evans / Rent Romus / Alex Cohen / Philip Everett - Live KFJC 89​.​7 FM(2016)
Brandon Evans (as, sopranino) Rent Romus (as, ss) Alex Cohen (elg, pedals) Philip Everett (perc, cl)


ブランドン・エヴァンスというと、シリアスで難解な演奏をする作曲家兼マルチリード奏者という(勝手な)認識だったので、ロムスとの共演は正直いって意外だった。KFJC というのはサンフランシスコ半島をエリアとする FM局だそうで、ニューヨークを拠点とするエヴァンスが西海岸に乗り込んだ際にセッティングされたセッションということだろう。残る2人ともロムス側のミュージシャンであるから、セッションはロムス含む3人が主導権を握る展開となっていて、それはすなわち、シリアスでありつつエンタメであるような音楽になっているということだ。その中心にいるのがロムスで、サックスの音色が抜きんでている上、こういう即興中心の演奏でもやっぱりうまいと唸らせる。40分一本勝負。


参考動画(試聴)
www.youtube.com

Briggan Krauss / The Art of the Saxophone: Live at the Saalfelden Jazz Festival 2017

無料(もちろんお金を払ったっていい)ながら、見逃せない作品。


Briggan Krauss / The Art of the Saxophone: Live at the Saalfelden Jazz Festival 2017(2017)
Briggan Krauss – alto saxophone (towel mute)


米国のサックス奏者(兼、実はギタリストでもある)ブリガン・クラウスが2017年8月、オーストリアのザールフェルデン・ジャズ・フェスティバルに無伴奏ソロで出演した記録。彼は bandcampで「The Art of the Saxophone」と題したサックスソロのシリーズを無料リリースしており、第1弾がトンネル、第2弾はスタジオ、そして第3弾の本作品がジャズフェスということになる。第1弾・第2弾ともに、サックスの音をどう変化させどう響かせるか、という主題があったように、本作ではタオルを使って(おそらくはベルに突っ込んで)音をミュートさせ、循環呼吸を駆使しながら演奏を紡ぎだしている。もちろん現場では一切の機械的エフェクトを使わず、事後のプロダクションも施していない、にもかかわらず、とても面白い響きがする。

Henry Threadgill 14 or 15 Kestra: Agg / Dirt​.​.​. And More Dirt

CDを注文がてら、ダウンロード版を聴く。

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Henry Threadgill 14 or 15 Kestra: Agg / Dirt​.​.​. And More Dirt
Pi Recordings, 2017)
Henry Threadgill (as, fl, bass fl) Chris Hoffman (cello) Liberty Ellman (g) Jose Davila (tuba) Ben Gerstein (tb) Jacob Garchik (tb) Jonathan Finlayson (Bb tp, F tp) Stephanie Richards (Bb tp) Curtis Robert Macdonald (as) Roman Filiú (as, afl) David Bryant (p) David Virelles (p) Thomas Morgan (b) Elliott Humberto Kavee (ds) Craig Weinrib (ds, perc)


ヘンリー・スレッギルの新プロジェクトは、14人ないし15人(おそらくスレッギルが入るか否か、だろう)からなるスモールオーケストラ。ドラム2人、ピアノ2人、トロンボーン2人、トランペット2人、フルート2人、アルトサックス(スレッギルを除いて)2人、ベースとチェロ、など各種楽器を2人ずつそろえ、コンポジション(2つの組曲)は相変わらず一聴してそれと分かる「スレッギルじるし」ながら、2つの中心が複雑に移動して焦点を結ばせないような、不思議な面白いサウンドが展開されている。予想されていたとはいえ、スレッギルのグループはどんどん大きくなっていて、同時にここ数作品でも顕かなように、スレッギル自身はあまり前面に出なくなっている。のが、やっぱり寂しいのだけれど。

Hilmar Jensson / Kerfill

新年に入っても、年末とやっていることは変わらない。溜まりまくった未聴アルバム(デジタルが多い)を聴いていくだけなのである。


年末、アイスランド出身のギタリスト Hilmar Jensson が過去作品を、bandcamp で一気に放出したので未聴作を聴いた。


Hilmar Jensson / Kerfill
(Smekkleysa, 1999)
Andrew D'Angelo (as, bcl) Óskar Guðjónsson (ts) Eyþór Gunnarsson (p) Hilmar Jensson (g) Bryndis Halla Gylfadóttir (cello) Mathias Hemstock (ds)


イェンソンが、米国留学時に知り合った盟友アンドリュー・ディアンジェロを連れて、アイスランドのミュージシャンたちと行ったセッションの記録、ということらしい。わたしは結局ディアンジェロのアルトとバスクラばかり聴いている、とはいうものの、アイスランド側の演奏家たちも皆知らぬ人たちながら総じてレベルが高い。(ちなみにもう一枚、ディアンジェロとティム・バーンが参加しているので「Dofinn」という作品も聴いたが、ティムのソロはなく、やや肩透かし)


参考動画
www.youtube.com